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修正は何回まで、の線を最初の返信で引く

修正が終わらない案件には、共通点があります。回数を決めていなかったのではなく、「1回」が何を指すのかを決めていなかったことです。だから3回と書いてあっても4回目が来ます。

「修正は何回までが普通か」を調べても、使える答えは出てきません。作るものの規模、デザイン案を何本出すか、原稿を誰が書くかで、1回あたりの作業時間が何倍も変わるからです。この記事でも、何回が普通かという数字は出しません。代わりに、自分の案件から回数を出す手順と、その回数が実際に守られる書き方をまとめます。

対象はWeb制作フリーランスの受注側です。扱うのは最初の返信から着手までの範囲で、金額の決め方ではありません。

回数が守られないのは、数字ではなく数え方が決まっていないから

「修正2回まで」と書いた案件で、3回目が来る。このとき相手は約束を破っているつもりがありません。送ったメールの数を数えていないか、自分の指摘が「修正」に当たると思っていないかのどちらかです。回数を数で書いても、数える単位が共有されていなければ数えられません。

決めるべき境界は3つだけです。

1. いつから数えるかラフの段階から数えるのか、デザインが確定してから数えるのか。ここが抜けると、制作中の試行錯誤まで回数に入っているように読まれます。「デザイン確定後」のように起点を1語入れるだけで、数え始めが一致します。
2. 何をまとめて1回とするかいちばん食い違うのがここです。指摘1件を1回と数えるのか、1通のメールにまとめていただいた指摘をまとめて反映して1回と数えるのか。後者で決めておかないと、相手は気づいた順に送ってよいことになり、回数はいくらでも増えます。
3. 何を数えないか誤字の指摘や電話番号の差し替えまで回数に数えると、相手は指摘をためらいます。数えないものを先に挙げておくと、回数の線が「けちな線」ではなく作業量の線として読まれます。

3つ目は自分のためでもあります。こちらの作業漏れ(リンク切れ、画像の貼り間違い)を相手の回数で消費させてしまうと、あとから言いにくくなります。

回数を自分の数字から出す

相場を探すより、手元の実測から出したほうが早く、守りやすい数字になります。3ステップで出ます。

ステップ1: 1回の修正にかかる時間を測る直近に終わった案件を1件思い出し、修正1回で実際にどれだけ手を動かしたかを時間で書き出します。測ったことがなければ、次の案件で記録を取るところから始めます。見積もりの精度はここに乗ります。
ステップ2: 修正に充てていい時間を決めるその案件の制作時間全体のうち、修正に何割までなら使えるかを決めます。ここを決めないと、修正は「余った時間でやるもの」になり、際限がなくなります。
ステップ3: 割って、切り下げる充てていい時間 ÷ 1回の時間=上限回数。端数は切り上げずに切り下げます。切り上げた1回は、だいたい自分の時間から出ます。
例(数字は自分の実測に置き換えてください) ・この案件の制作時間: 20時間 ・修正に充てていい割合: 15% → 3時間 ・1回の修正の実測: 1.5時間 → 3 ÷ 1.5 = 2回 この2回を「デザイン確定後の修正2回まで」として書く。

この数字は相場ではなく、自分の作り方から出た数字です。だから相手に理由を聞かれたときに答えられますし、案件の規模が変わったときに同じ式で引き直せます。デザイン案を複数出す案件なら、案の本数は修正回数とは別に数えます(別案を見たいという依頼は、修正ではなく案の追加です)。

最初の返信に入れる一行

回数を伝える場所は、見積書ではなく最初の返信です。見積書に小さく書いた条件は読まれないことがありますが、本文に1行あれば読まれます。書き方は3つあり、案件の形で選びます。

A. 回数で書く(ページ数が決まっている案件)

お問い合わせありがとうございます。 進め方としては、デザインをご確認いただいて確定したあと、 修正を2回まで含める形でお見積もりしています。 1回は、1通でいただいたご指摘をまとめて反映する単位です。 誤字や電話番号などの差し替えは、回数に数えません。

3行目が、この記事の本題です。回数だけ書くより1行増えますが、増やした1行が4回目を止めます。

B. 段階で書く(確認のタイミングが決まっている案件)

ご確認をいただくタイミングは、構成・デザイン・公開前の3回です。 各回でいただいたご指摘をまとめて反映し、次の段階へ進みます。 前の段階に戻るご希望が出た場合は、日程を引き直してからの着手とさせてください。

回数という言葉を使わずに同じ線が引けます。「何回まで」と書くのが角が立つように感じる相手には、こちらのほうが通りやすいです。段階を戻る話を1行入れておくのが要点で、ここが抜けると3回の確認が実質無制限になります。

C. 期間で書く(公開後の対応まで聞かれている案件)

公開作業の完了をもって本件は完了とし、 公開後◯日以内にお気づきの表示崩れ・誤字は、回数に関わらず対応します。 それ以降のご変更は、別のご依頼として承ります。

回数で区切りにくい案件は、日付で区切ります。回数と期間を両方書くと条件が増えて読まれなくなるので、どちらか一方にします。

書きがちな一行を、数えられる形に直す

悪気なく書いてしまう一行ほど、あとで効いてきます。理由と直し方を並べます。

書きがちな一行なぜ数えられないか数えられる書き方
修正は随時対応します回数も終わりも入っていない。好意が条件として残るデザイン確定後の修正を◯回まで含めます
ご納得いただけるまで修正します納得の基準が相手の中にしかなく、こちらから終われないご確認は◯回、各回のご指摘をまとめて反映します
軽微な修正は無料です軽微かどうかの判断が相手側に残る文字の差し替えと色指定の変更は、回数に数えません
修正2回までいつから数えるかがない。ラフからと読まれうるデザイン確定後、公開までの修正を2回まで
修正3回まで無料1回の範囲がない。指摘1件で1回とも読める1回=1通でいただいたご指摘をまとめて反映する単位

右の列はどれも、相手に不利な条件を増やしていません。同じ内容を、あとから二人で数えられる形にしているだけです。だから説明が要りませんし、言いにくさもありません。

回数を使い切らせない3つの運用

上限を決めても、使い切られたら同じところに戻ります。回数が余るように進めるほうが、線を守るより効きます。

指摘を1通にまとめてもらうこれだけで回数はかなり減ります。頼み方は「まとめてください」ではなく、締め切りを添えた形にします。「◯日までにお気づきの点をこのメールへまとめてご返信ください。いただいた分を一度に反映します」。相手にとっても、思い出すたびに連絡する手間がなくなります。
確認の回と修正の回を混ぜない確認は「見て返事をもらう」こと、修正は「直す」ことです。混ぜて数えると、相手が感想を言っただけで1回減ったように見えます。確認は段階(構成/デザイン/公開前)、修正は回数、と別に数えます。
直す前に「これで確定か」を1行聞く「いただいた内容で反映します。他にお気づきの点がなければ、このまま進めます」。この1行があると、直したあとに追加の指摘が来る形が減ります。1回分の作業を、1回分で終わらせるための確認です。

どれも相手を縛る話ではなく、こちらの手戻りを減らす話です。結果として回数が余り、最後に1回残っている状態で公開できると、終盤がかなり楽になります。

すでに「無制限」と伝えてしまっているとき

「修正は何回でも大丈夫です」と最初に言ってしまった案件は、取り消すより区切りを入れるほうが通ります。回数の話にせず、進行の話にします。

進行中の案件なら

デザインの方向性が固まってきたので、ここから先の進め方を整理させてください。 今回いただいたご指摘を反映したものを、確定版としてお出しします。 確定版から公開までは、表示の崩れや誤字の調整を中心に進めます。 構成やデザインの方向を変えるご希望が出た場合は、日程を引き直してからの着手とさせてください。

「無制限と言いましたが」と書かないほうが早く進みます。回数を取り消すのではなく、段階を1つ置いて、段階の前と後で作業の種類を変えるという形にしています。前に伝えた内容と矛盾しないので、相手も受け取りやすいです。

次の案件からなら

すでに終わった案件の条件を遡って変える必要はありません。次の見積もりから、上で出した一行を入れます。同じ相手からの2件目であれば、1件目の実績を理由にできます。

前回は進めながらご相談する形で対応しましたが、 今回はスケジュールが決まっているため、 デザイン確定後の修正を◯回まで、という形でお見積もりしています。

回数では切れないもの

回数の線で解けない問題を回数で解こうとすると、上限を決めたのに苦しくなります。別の手当てが要るものを並べます。

起きていること回数で切ろうとすると実際にやること
別の案も見たいと言われる回数内に収めようとして、案が薄くなるデザイン案の本数として別に数える。修正回数とは分ける
終盤に別の人の意見が出てくる残り回数を使い切っても終わらない確認する人を先に確定させる。回数の問題ではない
作るものの理解が最初からずれていた何回直しても合わず、双方が消耗する修正を止めて構成の確認に戻り、日程を引き直す
公開後に指摘が出てくる制作中の回数から引かれ、完了にできない公開作業の完了で区切り、以降は別の依頼として扱う
自分の作業漏れ(リンク切れ・誤字)相手の回数を消費し、あとから言い出せないこちら由来の直しは回数に数えない。別枠で直す

3行目は回数の設計ではなく、最初のヒアリングの問題です。何を聞いておくかは Web制作の初回返信で、先に確認したい4項目 にまとめています。回数を超えた依頼が実際に来たときの言い方は 範囲外の依頼に、追加料金をどう言うか、決めた回数を契約書なしの案件で文面に残す形は 契約書がないまま進めるなら、文面1通で決めておく にあります。この記事は、その手前で回数そのものをどう決めて、どう書くかの部分です。

修正回数は見積もりの金額が動く要因でもあります。金額を先に聞かれたときの返し方は 「いくらくらいですか」に、その場でどう答えるか、修正が増える原因になりやすい素材の遅れは Web制作で素材がそろわず止まるのを防ぐ、受け渡しリスト にまとめています。

テンプレートとして固定して使う

修正回数は案件ごとに考え直すものではありません。自分の数字を一度出したら、初回返信の一行として固定して使い回します。初回返信・ヒアリング・素材回収・着手前の確認をまとめて同じ形式でそろえたい場合は、依頼整理・初回返信キット(500円)にMarkdownのテンプレート一式が入っています。修正回数は自分の数字を一度書き込む欄になっているので、以降は差し替えずに使えます。買い切りで、メールアドレスの登録はありません。

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このページは修正回数の決め方と伝え方を整理するための一般的な実務メモです。何回が適切かという目安を示すものではなく、契約・法務・税務上の助言でもありません。実際の取引条件は当事者間の取り決めに従ってください。

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