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範囲外の依頼に、追加料金をどう言うか

「ついでにここも直せますか」と言われたとき、断りたいわけではない。ただ、無償で足していくと、同じ金額で作業だけが増えていきます。

追加料金の話がやりにくくなるのは、たいてい作業が始まったあとです。すでに手を動かしている相手に「それは別料金です」と言うと、交渉のように見えます。逆に、初回返信の時点で範囲の扱いを一行書いておけば、あとから出てくる依頼は交渉ではなく手続きになります。

ここでは、Web制作フリーランスが範囲外の依頼に使える言い方を、初回返信と着手後に分けてまとめます。金額の決め方ではなく、言い方の型の話です。

先に決めるのは「金額」ではなく「どこからが追加か」

追加料金が言いにくい原因は、料金表がないことではありません。どこまでが最初の見積もりに入っているかが、お互いの頭の中にしかないことです。先に決めておくのは次の3つだけで足ります。

1. 数えられる単位を1つ決めるページ数、修正の回数、デザイン案の本数のうち、その案件で増えやすいものを1つ選び、数で書きます。「トップ+下層4ページ」「修正2回まで」のように、あとから数えられる形にします。
2. 入っていないものを1行書く原稿作成、写真撮影、ロゴ作成、既存サイトからの移行、公開後の運用。この案件でやらないものを、やることより先に書きます。書かれていないものは入っていると読まれます。
3. 増えたときの扱いを決める「都度お見積もり」で構いません。重要なのは金額ではなく、増えたら見積もりを出すという手順が最初から合意されていることです。

この3つは、見積書よりも前に、初回返信の中に短く置けます。

初回返信に添える一行

初回返信で範囲の話をすると身構えられそうに見えますが、「あとで追加費用の相談になる場面を先に伝えておく」という書き方なら、むしろ安心材料として読まれます。

お問い合わせありがとうございます。 ご要望を確認し、対応範囲と概算をお送りします。 なお、お見積もりは「ページ数」「修正回数」「原稿・写真のご支給有無」で変わります。 進行中に範囲が広がる場合は、作業前に追加分のお見積もりをお送りしてからの着手とさせてください。

最後の一文が、このあと出てくるすべての「ついでに」への答えになります。断る文ではなく、手順を先に共有する文です。

初回返信で一緒に確認しておく項目は Web制作の初回返信で、先に確認したい4項目 にまとめています。

着手後に範囲外の依頼が来たときの型

やることは1つで、断らずに見積もりへ渡すことです。「できません」ではなく「できます、ここからは別で出します」に変えます。

1. 作業量が増える依頼

ご依頼ありがとうございます。対応できます。 今回のお見積もり範囲(◯ページ分)には含まれていないため、追加分として別途お見積もりをお送りします。 金額をご確認いただいたうえで着手しますので、不要な場合はそのままお知らせください。

2. 「ついでに」「軽くでいいので」と言われた依頼

軽微な調整であれば今回の範囲内で対応します。 ご希望の内容は◯◯の変更を含むため、見た目以上に影響範囲が広くなります。 先に作業時間の目安だけお伝えしますので、進めるかどうかをご判断ください。

「軽微なら範囲内」と最初に認めると、線を引いているのが手間の大小であって相手の態度ではないことが伝わります。

3. 修正回数を超えた依頼

ご確認ありがとうございます。今回で3回目のご修正となり、お見積もりに含めていた2回を超えています。 今回分は対応し、以降の修正は1回ごとのお見積もりとさせてください。 修正の内容をまとめてお送りいただければ、回数を抑えられます。

1回分を受けてから基準を伝えると、請求の話が対立になりにくく、次回以降の数も守りやすくなります。そもそも何回までにするか、その回数を最初の返信にどう書くかは 修正は何回まで、の線を最初の返信で引く にまとめています。

言い換えの対応表

内容は同じでも、主語を「相手の要望」から「作業と手順」に移すと、言いにくさがかなり減ります。

避けたい言い方実際に使う言い方
それは対応できません対応できます。範囲外のため、別途お見積もりをお送りします
追加料金がかかります追加分は作業前にお見積もりをお送りします
今回はサービスしておきます軽微な調整のため、今回の範囲内で対応します
そういう話は聞いていません当初のお見積もりには含めていない部分なので、改めて整理します
これ以上は難しいです公開日を優先するか、範囲を広げるかを決めさせてください

「サービスしておきます」は好意で言っていても、無償で増やせるという前例として残ります。範囲内だから対応する、と言い切るほうが次が楽になります。

無償で受けてよいものの線引き

依頼の内容扱い
誤字修正、文言の差し替え範囲内で対応する
色やサイズの微調整(1か所)範囲内で対応する
ページの追加、構成の変更追加見積もり
原稿・写真の作成や手配追加見積もり(最初から除外と書いておく)
決めた回数を超えた修正今回は対応し、以降は都度見積もり
公開後の更新作業別の依頼として扱う

この表の線は案件ごとに動かしてよいものですが、案件が始まる前に決めておくという点だけは動かさないほうが、毎回考え直す手間がなくなります。範囲外になりやすい素材まわりは Web制作で素材がそろわず止まるのを防ぐ、受け渡しリスト と合わせて確認すると漏れにくくなります。

そもそも最初の見積もりを出す前に金額を聞かれて答えにくいときは 「いくらくらいですか」に、その場でどう答えるか にまとめています。

そして、この線引きを契約書なしで進める案件で文面に残しておく方法は 契約書がないまま進めるなら、文面1通で決めておく にまとめています。範囲の決め方がこちら、決めた範囲の記録の残し方がそちらです。

テンプレートとして固定して使う

ここまでの文例は、案件ごとに書き直すものではなく、一度決めて使い回すものです。初回返信・ヒアリング・素材回収・着手前の確認を同じ形式でそろえたい場合は、依頼整理・初回返信キット(500円)にMarkdownのテンプレート一式が入っています。買い切りで、メールアドレスの登録はありません。

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このページは依頼の範囲を整理するための一般的な実務メモです。契約・法務・税務上の助言ではありません。実際の取引条件は契約内容に従ってください。

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